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医療コラム
2026.07.11

子どもの熱中症|初期症状・応急処置・受診目安・予防を解説

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暑い日に子どもが急に元気をなくしたり、「頭が痛い」「気持ち悪い」と訴えたりすると、熱中症ではないかと心配になる保護者の方も多いでしょう。

子どもは大人と比べて体温調節機能が未熟です。遊びや運動に夢中になると、暑さやのどの渇きを自分から訴えず、気付かないうちに脱水が進むことがあります。

特に乳幼児は、症状を言葉でうまく伝えられません。

「いつもより元気がない」「顔が赤い」「急に機嫌が悪くなった」「水分を飲みたがらない」といった変化が、熱中症の初期症状である可能性もあります。

熱中症は屋外だけで起こる病気ではありません。高温多湿の室内、寝室、車内、ベビーカーの中などでも発症します。

早い段階で涼しい場所へ移動し、体を冷やして水分を補給することが重要です。一方、呼びかけへの反応がおかしい、自力で飲めない、けいれんしている場合は、迷わず救急車を呼ぶ必要があります。

この記事では、子どもの熱中症の症状、正しい応急処置、医療機関を受診する目安、日常生活での予防方法について解説します。

目次

子どもが熱中症になりやすい理由

体温調節機能が未熟

子どもは大人と比べて、汗をかいて体の熱を外へ逃がす機能が十分に発達していません。

また、体重に対する体表面積が大きいため、周囲の温度の影響を受けやすい特徴があります。気温が体温より高い環境では、外から熱を吸収して体温が上昇しやすくなります。

体内の水分を失いやすい

子どもは体内に占める水分の割合が高い一方、腎臓の機能が未熟で、体内の水分を保つ力が十分ではありません。

発汗、発熱、下痢、嘔吐などが重なると、短時間で脱水が進むことがあります。

自分で水分補給や休憩ができない

乳幼児は、のどが渇いても自分で飲み物を用意できません。

年齢が上がっても、遊びやスポーツに夢中になると、暑さや体調不良を我慢してしまうことがあります。

周囲の大人が時間を決めて水分補給と休憩を促し、表情や動きの変化を観察する必要があります。

地面からの照り返しを受けやすい

子どもは身長が低いため、アスファルトやコンクリートからの照り返しの影響を強く受けます。

大人の顔の高さよりも、子どもの顔の高さのほうが高温になっていることがあります。

ベビーカーも地面に近く、熱がこもりやすいため注意が必要です。日よけで覆いすぎると風通しが悪くなる場合があるため、こまめに顔色、汗、皮膚の温度、呼吸の様子を確認しましょう。

熱中症が起こりやすい時期と環境

熱中症は真夏だけに起こるものではありません。
気温が急に上昇する5月頃、梅雨の晴れ間、梅雨明け直後など、体が暑さに慣れていない時期にも発症しやすくなります。

次のような環境では特に注意が必要です。

睡眠中も汗をかくため、室温や湿度が高い場合には熱中症になる可能性があります。夜間でも無理にエアコンを止めず、子どもが眠りやすい室内環境を整えることが大切です。

子どもの熱中症でみられる症状

熱中症の症状は、軽いものから命に関わるものまでさまざまです。

子どもは症状を正確に説明できないことがあるため、「いつもと違う」という保護者の気付きが重要です。

症状の目安主な症状
比較的軽い症状顔が赤い、大量の汗、めまい、立ちくらみ、口の渇き
注意が必要な症状頭痛、吐き気、嘔吐、元気がない、食欲低下
緊急性が高い症状呼びかけへの反応が悪い、言動がおかしい、まっすぐ歩けない、けいれん、意識がない、体が非常に熱い

熱が高くなくても注意が必要

熱中症では、必ずしも高熱が出るとは限りません。

体温が37℃台でも、暑い場所で過ごした後に嘔吐、元気がない、食欲低下などが現れる場合があります。

「熱が高くないから大丈夫」と判断せず、過ごしていた環境や水分摂取量も確認してください。

汗をかいていなくても否定できない

熱中症の初期には大量の汗がみられることがあります。

一方、脱水が進んだ場合や重症の場合には、皮膚が熱く乾いて汗が目立たなくなることもあります。

「汗をかいていないから熱中症ではない」とは判断できません。

乳幼児で注意したいサイン

乳幼児は「頭が痛い」「気持ちが悪い」と言葉で伝えられません。

次のような変化がないか、周囲の大人が観察しましょう。

乳幼児は短時間で状態が変化することがあります。

水分を飲めない、反応が悪い、ぐったりしている場合は、家庭で長時間様子を見ず、速やかに医療機関へ相談してください。

熱中症が疑われるときの応急処置

熱中症が疑われる場合は、次の順番で対応します。

1.涼しい場所へ移動する

まず、エアコンの効いた室内や、風通しのよい日陰などへ移動させます。

屋外にいる場合は、日陰へ移すだけでなく、可能であれば冷房の効いた建物や車内へ移動しましょう。ただし、閉め切った車内に子どもだけを残してはいけません。

2.衣服を緩めて体を冷やす

きつい衣服やベルトを緩め、体にこもった熱を逃がします。

冷たい濡れタオルで皮膚を拭き、うちわや扇風機で風を当てると、汗や水分が蒸発するときに体温を下げる効果が期待できます。

保冷剤や氷がある場合は、タオルで包み、次の場所を冷やします。

保冷剤を直接皮膚へ長時間当てると、低温やけどを起こす可能性があります。必ずタオルなどで包みましょう。

3.意識がはっきりしていれば水分を飲ませる

呼びかけにきちんと反応し、自分で安全に飲み込める場合は、水分を少量ずつ、こまめに与えます。

大量の汗をかいている、吐き気やだるさがあるなど脱水が疑われる場合は、水分と電解質を補える経口補水液が適しています。

一度に大量に飲ませると嘔吐することがあるため、少しずつ様子を見ながら補給してください。

意識がおかしい場合は飲ませない

次のような状態では、誤嚥する危険があるため、無理に飲み物を与えてはいけません。

すぐに119番へ連絡し、救急車を待つ間も体を冷やし続けてください。

受診や救急車を呼ぶ目安

次のような症状がある場合は、重症の熱中症が疑われます。すぐに119番へ連絡してください。

救急車を待っている間も、涼しい場所で衣服を緩め、首、脇の下、足の付け根を冷やし続けます。

意識がはっきりしていても、吐いて水分が取れない、頭痛やだるさが改善しない、尿が極端に少ない、ぐったりした状態が続く場合は、早めに医療機関を受診してください。

暑い場所で過ごした後に発熱やだるさがみられることもあります。ただし、翌日になって新たに症状が出た場合や、症状が続く場合は、感染症など別の病気の可能性もあります。子どもの様子がいつもと違う場合は、小児科へ相談しましょう。

子どもの熱中症を予防するポイント

のどが渇く前に水分を取る

子どもは遊びに夢中になると、水分補給を忘れがちです。外出前、遊ぶ前、休憩時、帰宅後など、時間を決めて飲ませることが大切です。

暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートを確認する

外出や運動の前には、気温だけでなく、湿度や日差しなども反映した「暑さ指数(WBGT)」を確認しましょう。

熱中症警戒アラートが発表されている日や、危険な暑さが予想される日は、屋外での運動や長時間の外出を控えます。

予定していた活動を中止、延期、短縮する判断も必要です。

涼しい服装を選ぶ

汗を吸いやすく、速乾性や通気性のよい衣服を選びます。
屋外では帽子を使用しますが、帽子の中に熱がこもることもあるため、日陰では帽子を外して熱を逃がしましょう。

汗で服が濡れた場合は、乾いた服へ着替えることも大切です。

室内でもエアコンを使用する

熱中症は屋内でも起こります。
室温だけでなく湿度も確認し、エアコンや扇風機を適切に使用してください。

エアコンの設定温度が同じでも、部屋の広さ、日当たり、人数、湿度によって実際の室温は変わります。「設定温度が何度か」だけで判断せず、子どものいる場所の温度と体調を確認しましょう。

夜間も高温多湿の場合は、無理にエアコンを止める必要はありません。

ベビーカーの中を確認する

ベビーカーは地面に近く、照り返しの影響を強く受けます。
日よけを使用していても、厚手の布などで全体を覆うと、内部に熱や湿気がこもることがあります。

こまめに次の点を確認してください。

車内に子どもを残さない

短時間であっても、子どもを車内に残してはいけません。
日陰に駐車している、窓を少し開けている、エアコンを付けている場合でも、機器の停止や温度上昇によって危険な状態になる可能性があります。

子どもが眠っていても、必ず一緒に車外へ連れて行ってください。

水分補給では何を飲ませる?

飲み物は、状況に応じて使い分けます。

状況飲み物の目安
日常的な水分補給水、麦茶、母乳、ミルクなど
外遊びや軽い運動水や麦茶をこまめに補給
長時間の運動や大量に汗をかいたときスポーツドリンクなども選択肢
熱中症や脱水が疑われるとき経口補水液
意識や飲み込みがおかしいとき飲ませず、救急要請

経口補水液は、水分と塩分などの電解質を吸収しやすい濃度に調整した飲料です。脱水が疑われるときに適していますが、普段の水分補給として常に飲ませる必要はありません。

スポーツドリンクは糖分を多く含む製品もあります。日常的に水代わりとして長時間飲み続けるのではなく、運動量や発汗量に応じて使い分けましょう。

乳児では、普段の水分補給は母乳やミルクが基本です。母乳やミルクの飲みが悪い、おむつが長時間濡れない、ぐったりしている場合は、早めに小児科へ相談してください。

よくある質問

寝ている間にも熱中症になりますか?

室温や湿度が高い場合は、室内や睡眠中にも熱中症になる可能性があります。

寝る前に水分をとり、エアコンや扇風機を適切に使用しましょう。乳幼児は自分で暑さを訴えられないため、汗、顔色、皮膚の温度も確認してください。

熱中症では必ず体温が高くなりますか?

必ずしも高熱になるとは限りません。
体温がそれほど高くなくても、暑い環境で過ごした後に頭痛、吐き気、めまい、だるさ、ぐったりするなどの症状があれば、熱中症を疑います。

体温だけでなく、意識、反応、顔色、水分摂取量などを確認してください。

スポーツドリンクと経口補水液は同じですか?

どちらも水分や塩分を含みますが、成分や用途が異なります。経口補水液は、脱水時に水分と電解質を効率よく補うために調整されています。日常的な水分補給と、脱水が疑われるときの補給を使い分けましょう。

どこを冷やせばよいですか?

衣服を緩め、皮膚を水で濡らして、うちわや扇風機で風を当てます。
氷や保冷剤がある場合は、タオルで包んで首、脇の下、足の付け根などを冷やしてください。

一部分だけを冷やして安心せず、全身の熱を逃がしながら状態を観察することが大切です。

症状が治まれば受診しなくてもよいですか?

涼しい場所で休ませ、水分補給をした後に元気が戻り、食事や水分が取れていれば経過を見られることもあります。

ただし、症状を繰り返す、吐き気が続く、尿が少ない、いつもより元気がない場合は医療機関に相談してください。

まとめ

子どもは体温調節機能が未熟で、地面からの照り返しや脱水の影響を受けやすいため、大人よりも熱中症に注意が必要です。

顔色、機嫌、汗のかき方、動き方などを周囲の大人がこまめに確認し、のどが渇く前の水分補給と休憩を心がけましょう。

呼びかけへの反応が悪い、けいれんしている、自力で水分が飲めないといった症状がある場合は、迷わず救急車を呼んでください。

子どもの熱中症が心配なときはさぎ山クリニックへ

岐阜市鷺山北町にあるさぎ山クリニックの小児科では、子どもの熱中症や脱水症状の診療を行っています。

当院では、暑い環境で過ごした時間や症状の経過、水分摂取量、尿の回数などを確認し、体温、意識状態、呼吸、脱水の程度を評価します。必要に応じて検査を行い、点滴や高度な治療が必要と判断した場合には、対応可能な医療機関へご紹介します。

お子さんの体調に気になる変化がある方は、お気軽にご相談ください。

【参考文献】
・環境省「熱中症環境保健マニュアル2022」
・環境省「熱中症環境保健マニュアル~総論~(2025年7月版)」
・厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」
・日本小児科学会「子どもの予防可能な傷害と対策 熱中症」
・日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック 第6版」