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医療コラム
2026.07.09

心不全の検査と治療|再入院を防ぐために大切なこと

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心不全は、適切な治療と継続的な管理によって、症状の安定や再入院の予防を目指す病気です。
一度症状が改善しても、塩分の摂り過ぎ、感染症、血圧の上昇、不整脈、薬の中断などをきっかけに、再び悪化することがあります。

そのため心不全では、現在の心臓の状態を正しく評価し、原因に応じた治療を行いながら、日常生活の中で息切れやむくみ、体重増加などの変化に早く気付くことが大切です。

目次

心不全の検査

心不全が疑われる場合や、すでに心不全と診断されている方の経過を確認する場合には、いくつかの検査を組み合わせて心臓の状態を評価します。

心不全では、症状だけで重症度を判断することはできません。息切れやむくみが軽くても、心臓に負担がかかっている場合があります。一方で、息切れの原因が肺の病気、貧血、腎機能低下など別の原因によることもあります。

そのため、診察所見に加えて、心電図、心エコー検査、血液検査、胸部レントゲンなどを行い、総合的に判断します。

心電図

心電図検査では、脈の乱れや心臓の電気の流れを確認します。

心房細動などの不整脈は、心不全を悪化させる原因になることがあります。また、過去の心筋梗塞が疑われる変化や、心臓に負担がかかっている可能性が見つかることもあります。

心エコー検査

心エコー検査は、心不全の評価で非常に重要な検査です。
超音波を使って心臓の動きを確認する検査で、心臓の収縮力、拡張機能、弁膜症の有無、心臓の大きさ、心臓の壁の厚さなどを詳しく調べることができます。

血液検査

血液検査では、BNPまたはNT-proBNPという心臓への負担を反映する項目を確認します。

あわせて、腎機能、貧血、電解質、糖尿病、脂質異常症なども確認します。心不全の治療では、心臓だけでなく全身の状態をみながら治療を調整することが大切です。

胸部レントゲン

胸部レントゲンでは、心臓の大きさや肺の状態を確認します。

心不全が悪化すると、肺に水分がたまり、息切れや咳の原因になることがあります。胸部レントゲンは、心不全の悪化を確認するうえで役立つ検査です。

ホルター心電図検査

動悸や脈の乱れ、ふらつきがある場合には、24時間心電図を記録するホルター心電図検査を行うことがあります。

通常の心電図では見つからない不整脈を確認できるため、心不全の原因や悪化要因を調べるうえで役立ちます。

心エコー検査で分かること

心エコー検査では、心不全の原因や重症度を詳しく評価します。
主に次のようなことを確認します。

心不全には、心臓の収縮力が低下するタイプだけでなく、収縮力が保たれていても心臓が硬くなり、うまく広がれなくなるタイプもあります。

そのため、心臓の動きだけでなく、拡張機能、弁膜症、心臓の厚み、心房の大きさなどを総合的に確認することが重要です。

心不全の治療

心不全の治療では、息切れやむくみなどの症状を改善するだけでなく、再入院や病状の進行を防ぐことが重要です。

治療は、心不全の原因、心臓の機能、血圧、脈拍、腎機能、合併症などを確認しながら、一人ひとりに合わせて行います。

薬物療法

心不全では、状態に応じて複数の薬を組み合わせて治療します。

代表的な薬には、体にたまった余分な水分を尿として出す利尿薬、心臓や血管への負担を軽くするACE阻害薬・ARB・ARNI、心臓を保護するβ遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬などがあります。

これらの薬は、症状を和らげるだけでなく、心不全の悪化や再入院を防ぐ目的でも使われます。

薬の種類や量は、血圧、腎機能、脈拍、血液検査の結果などを確認しながら調整します。症状が落ち着いていても、自己判断で薬を中止しないことが大切です。

原因に応じた専門的な治療

心不全の治療は、薬物療法だけでなく、原因となる病気に応じた治療が必要になることがあります。

狭心症や心筋梗塞が関係している場合はPCIなどのカテーテル治療、不整脈が関係している場合はカテーテルアブレーション、弁膜症が原因の場合は弁膜症治療、心臓の動きにずれがある場合はCRT(心臓再同期療法)などが検討されることがあります。

日常生活で大切なこと

数日で体重が2kg以上増えた場合や、息苦しさ・むくみが悪化した場合は早めに受診してください。

また、味の濃い食事や外食が多い方は塩分の摂り過ぎに注意が必要です。高血圧も心不全を悪化させる要因になるため、家庭で血圧を測定し、診察時に記録を持参すると治療の参考になります。

再入院を防ぐために

心不全は、一度症状が改善しても再び悪化することがあります。

再入院を防ぐためには、定期的な診察や検査を受け、薬を継続し、体重や血圧、息切れ、むくみの変化に早く気付くことが大切です。

特に、数日で体重が2〜3kg以上増えた、息切れやむくみが強くなった、横になると息苦しい、夜間に息苦しさで目が覚める、動悸が強い、胸の痛みや圧迫感がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。

安静にしていても息苦しい、胸の強い痛みがある、冷や汗を伴う、意識が遠のくような症状がある場合は、急いで受診が必要です。

よくある質問

Q. 心不全ではどのような検査を行いますか?

症状や診察結果に応じて、心電図、心エコー検査、胸部レントゲン、血液検査(BNP・NT-proBNPなど)を組み合わせて診断します。必要に応じてホルター心電図やCT検査などを追加することもあります。

Q. 心エコー検査では何がわかりますか?

心臓の大きさや動き、心臓の収縮・拡張機能、弁膜症の有無などを詳しく調べることができます。心不全の原因や重症度を評価するために欠かせない検査です。

Q. 心不全は治りますか?

原因によって異なりますが、多くの場合は長期間の治療と経過観察が必要です。適切な薬物療法や生活習慣の改善を継続することで、症状を安定させ、再入院のリスクを減らすことが期待できます。

Q. 心不全と診断されたら運動は控えたほうがよいですか?

病状によって異なりますが、状態が安定している場合は適度な運動が勧められることがあります。運動内容や強度は自己判断せず、主治医の指導に従うことが大切です。

Q. 日常生活で気を付けることはありますか?

塩分の摂り過ぎに注意し、毎日の体重測定や血圧測定を続けることが大切です。また、処方された薬は自己判断で中止せず、息切れやむくみ、急な体重増加など症状の変化があれば早めに受診してください。

まとめ

心不全は、心臓の働きが低下することで、息切れやむくみ、体重増加などが現れる病気です。診断や経過観察では、心電図、心エコー検査、胸部レントゲン、BNP・NT-proBNPを含む血液検査などを組み合わせ、心臓の状態や原因、重症度を総合的に評価します。

治療では、心不全の状態や原因に応じた薬を継続するとともに、毎日の体重・血圧測定、塩分の摂り過ぎへの注意、適切な運動などの自己管理が重要です。症状が落ち着いていても、自己判断で薬を中断しないようにしましょう。

心不全の再入院を防ぐためには、息切れ、むくみ、急な体重増加などの変化に早く気づき、悪化する前に医療機関へ相談することが大切です。

心不全の検査・継続的な管理はさぎ山クリニックへ

岐阜市鷺山北町にあるさぎ山クリニックの内科・循環器内科にて、心不全をはじめ、高血圧、狭心症・心筋梗塞、不整脈、弁膜症などの循環器疾患を診療しています。

当院では、症状や病状に応じて、血液検査、心電図、心エコー検査、ホルター心電図、胸部レントゲン検査などを行い、心臓の状態や心不全の悪化につながる要因を確認します。心不全の治療中の方についても、血圧、脈拍、体重、腎機能、電解質などを確認しながら、薬の調整や日常生活についての助言を行います。

息切れやむくみなどの症状が気になる方、心不全の治療や経過観察について相談したい方は、お気軽にご相談ください。

【参考文献】
・日本循環器学会・日本心不全学会合同「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」
・日本循環器学会・日本心臓リハビリテーション学会合同「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」
・日本心不全学会「心不全手帳 第3版」