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医療コラム
2026.07.23

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?|いびき・日中の眠気との関係や放置するリスクを専門医が解説

睡眠中のいびきを家族から指摘されたことはありませんか?

「呼吸が止まっていた」「寝返りが多い」「寝ているのに疲れが取れていない」などの症状は、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)が原因となっていることがあります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりすることで、体が十分な酸素を取り込めなくなる病気です。日中の眠気や集中力の低下だけでなく、高血圧や心臓病、脳卒中など全身の病気とも深く関係していることがわかっています。

一方で、本人は睡眠中の出来事に気付きにくく、「いびきが大きいだけ」「疲れやすいのは年齢の影響」と考え、診断が遅れるケースも少なくありません。

近年では検査や治療法が確立されており、適切な治療を受けることで睡眠の質や日中の活動性が改善し、将来的な合併症の予防も期待できます。

目次

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり(無呼吸)、浅くなったり(低呼吸)する病気です。

一般的には、10秒以上呼吸が停止した状態を「無呼吸」といい、これが睡眠中に何度も繰り返されることで体への負担が大きくなります。

睡眠中に呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下し、そのたびに脳が呼吸を再開させようとして覚醒反応を起こします。この覚醒は本人が自覚しないほど短時間であることが多いものの、一晩のうちに何十回から何百回も繰り返される場合があります。

その結果、本来であれば十分な休息が得られるはずの睡眠が断続的になり、睡眠の質が低下します。日中の眠気や倦怠感だけでなく、心臓や血管にも大きな負担がかかることが睡眠時無呼吸症候群の特徴です。

睡眠時無呼吸症候群にはいくつかのタイプがありますが、最も多いのは閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSA)です。

これは、睡眠中に舌や軟口蓋(上あごの奥にある柔らかい部分)が喉の奥へ落ち込み、空気の通り道(上気道)が狭くなることで起こります。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は、一つの原因だけで発症する病気ではありません。

体格や顔の骨格、鼻や喉の構造、生活習慣など、さまざまな要因が重なって発症します。

肥満

最も多い危険因子が肥満です。

首や喉の周囲に脂肪が付着すると気道が狭くなり、睡眠中に閉塞しやすくなります。

体重が増えると症状が悪化しやすく、減量によって改善する例も少なくありません。

鼻づまり

鼻炎や副鼻腔炎などによって鼻の通りが悪くなると、睡眠中の呼吸がしづらくなります。

空気を取り込もうとして口呼吸が増えることで、喉が狭くなりやすくなります。

アレルギー性鼻炎を長く患っている方では、睡眠時無呼吸症候群を合併していることがあります。

扁桃肥大・アデノイド肥大

扁桃やアデノイドが大きいと、空気の通り道が狭くなります。

小児の睡眠時無呼吸症候群では特に多い原因ですが、大人でも扁桃肥大が関係している場合があります。

あごの骨格

下あごが小さい方や後方へ下がっている方では、舌が喉の奥へ落ち込みやすく、気道が狭くなる傾向があります。

肥満がなくても睡眠時無呼吸症候群を発症する理由の一つです。

加齢

年齢とともに喉の筋力は低下します。

睡眠中に気道を支える力が弱くなることで、無呼吸が起こりやすくなります。

そのため、高齢になるほど患者さんは増加する傾向があります。

耳鼻咽喉科での診察が重要な理由

睡眠時無呼吸症候群は「眠っている間の病気」という印象がありますが、原因が鼻や喉にあることも少なくありません。

例えば、

などは、空気の通り道を狭くする代表的な病気です。

これらは耳鼻咽喉科で診察・治療できる場合があり、原因によっては鼻の治療や手術によって睡眠時無呼吸症候群の改善が期待できます。

睡眠時無呼吸症候群では、検査だけでなく気道が狭くなっている原因を調べることも治療方針を決めるうえで重要です。

睡眠時無呼吸症候群でみられる症状

睡眠時無呼吸症候群では、夜間だけでなく日中にもさまざまな症状が現れます。

次のような症状が続いている場合は、一度検査を検討することをおすすめします。

日中の眠気が強い方では、交通事故や労働災害のリスクが高くなることも報告されています。

また、高血圧や糖尿病、不整脈などで治療中の方が睡眠時無呼吸症候群を合併していることも少なくありません。

放置すると起こりやすい病気

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中だけの問題ではありません。

無呼吸や低呼吸が繰り返されると、血液中の酸素濃度が低下し、そのたびに脳が覚醒反応を起こします。この状態が毎晩続くことで、交感神経(体を緊張状態にする神経)が過剰に働き、血圧や心拍数が上昇しやすくなります。

さらに、酸素不足と再呼吸が繰り返されることで血管に炎症や酸化ストレスが生じ、動脈硬化の進行にも関与すると考えられています。

そのため、睡眠時無呼吸症候群は全身のさまざまな病気と関連しています。

高血圧

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧の原因として知られています。

特に、薬を服用しても血圧が十分に下がらない「治療抵抗性高血圧」の患者さんでは、睡眠時無呼吸症候群を合併している割合が高いことが報告されています。

高血圧の治療とあわせて睡眠時無呼吸症候群を治療することで、血圧の改善が期待できる場合があります。

心房細動などの不整脈

睡眠中の酸素不足は心臓にも負担をかけます。

その結果、心房細動をはじめとした不整脈を発症しやすくなることが知られています。

また、不整脈の治療後に睡眠時無呼吸症候群を適切に治療すると、再発率が低下することも報告されています。

心不全・狭心症・心筋梗塞

睡眠時無呼吸症候群では、血圧や心拍数の変動が大きくなり、心臓への負担が増加します。

そのため、心不全や狭心症、心筋梗塞などの循環器疾患との関連が指摘されています。

すでに心臓病をお持ちの方では、睡眠時無呼吸症候群を合併していると病状に影響することもあるため、必要に応じて検査を行うことが勧められます。

脳卒中

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や動脈硬化を介して脳卒中の発症リスクを高めることが知られています。

脳梗塞や脳出血の既往がある方では、睡眠時無呼吸症候群を合併していることも少なくありません。

糖尿病・生活習慣病

睡眠不足や慢性的な酸素不足は、インスリンの働きにも影響すると考えられています。

そのため、睡眠時無呼吸症候群は糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病とも深く関係しています。

生活習慣病の治療を続けていても改善が十分でない場合には、睡眠時無呼吸症候群が背景にある可能性も考慮する必要があります。

このような方は一度ご相談ください

次のような症状や状況に当てはまる方は、睡眠時無呼吸症候群の検査をおすすめします。

症状が軽くても、睡眠時無呼吸症候群が見つかることがあります。特に循環器疾患や生活習慣病がある方では、早めに評価することが大切です。

よくある質問

Q. いびきをかくだけでも検査を受けたほうがよいですか?

いびきだけでは睡眠時無呼吸症候群とは断定できませんが、大きないびきが続く方や、呼吸が止まっていると指摘された方、日中の眠気を伴う方では検査をおすすめします。

Q. 睡眠時無呼吸症候群は痩せている人でもなりますか?

はい。肥満は代表的な危険因子ですが、下あごの骨格や鼻づまり、扁桃肥大などが原因となり、体格に関係なく発症することがあります。

Q. 子どもでも睡眠時無呼吸症候群になりますか?

小児でもみられる病気です。扁桃肥大やアデノイド肥大が原因となることが多く、いびきや口呼吸、落ち着きのなさ、日中の眠気などがきっかけで見つかることがあります。

Q. 睡眠時無呼吸症候群は自然に治りますか?

原因によって異なりますが、自然に改善するケースは多くありません。肥満が原因の場合は減量で改善することがありますが、症状が続く場合は適切な検査と治療が必要です。

Q. 睡眠時無呼吸症候群は何科を受診すればよいですか?

睡眠時無呼吸症候群は、内科・循環器内科・耳鼻咽喉科など複数の診療科が関わる病気です。いびきや鼻づまりなど気道の問題が疑われる場合は耳鼻咽喉科、高血圧や不整脈などを伴う場合は循環器内科での評価も重要です。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まることで全身に負担を及ぼす病気です。

いびきや日中の眠気といった症状だけでなく、高血圧、不整脈、心不全、脳卒中などの循環器疾患や生活習慣病とも深く関係しています。

本人が症状を自覚していないことも多いため、家族からいびきや無呼吸を指摘されたことがある方や、原因のはっきりしない日中の眠気が続く方は、一度検査を受けることをおすすめします。

早期に診断し、適切な治療につなげることで、睡眠の質の改善だけでなく、将来の合併症リスクの軽減も期待できます。

睡眠時無呼吸症候群のご相談はさぎ山クリニックへ

岐阜市鷺山北町にあるさぎ山クリニックの内科・循環器内科・耳鼻咽喉科では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査・診療を行っています。

当院では、自宅で睡眠中の呼吸状態や血液中の酸素濃度などを調べる簡易検査に対応しています。検査結果に加えて、いびきや日中の眠気、体格、鼻や喉の状態、高血圧・心房細動などの合併症も確認し、総合的に評価します。

内科・循環器内科・耳鼻咽喉科が連携できる体制を整えており、鼻づまりや扁桃肥大などが疑われる場合には、上気道の状態も確認します。より詳しい精密検査や専門的な治療が必要な場合は、連携医療機関へご紹介します。

大きないびき、睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気、起床時の頭痛などが気になる方や、ご家族から呼吸が止まっていると指摘された方は、お気軽にご相談ください。

いびきや日中の眠気が気になる方、ご家族から無呼吸を指摘された方は、お気軽にご相談ください。

【参考文献】
・日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」
・日本循環器学会「2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」